お店を出た時刻はお昼をとっくに過ぎた時間。
駐車場で、沖田さんが私の水槽とかその他諸々の荷物を車のトランクに積み入れてくれている。
全部しまい終えて、彼が振り向いたタイミングで思い切って声をかけた。
「このあとは、時間ありますか?」
「うん、あるよ」
あっさりうなずいた沖田さんは、どうしたの?と首をかしげる。
「ご飯をご馳走したいんです。今日のお礼に!ちょっと贅沢にうな重とか!希少価値の高いお肉のステーキとか!なんでも食べたいものご馳走します!」
「いやいやいや。気遣わないでいいよ」
「それじゃあ私の気がおさまりません!何をすればお礼になりますか!?遠慮なく言ってください!!」
だって、貴重な休日を私に費やしてくれてると思うと気を遣わないわけがない。
今日はたくさんお金を使うと思っていたのに、沖田さんのおかげで激安で買えたので、予想以上に黒字なのだ。
「じゃあちょっと考えておくよ」
「え〜!でもお腹空いてませんか?」
「僕は別に。逸美ちゃんは?」
逸美ちゃんと呼ばれるたびにドキッとしてることは、沖田さんは知らないだろうな。
「私もまだお腹はそんなに……」
「じゃあ、先に水槽のセッティング終わらせよう」
にこっと微笑んで、運転席に乗り込む沖田さんに倣って私も助手席へ。
そして気がついた。
そういえば、当たり前のように彼は私の部屋に来て、水槽をセッティングしようと考えてくれているわけで。
となると、部屋に上がるのよね。
危ない危ない。
今日の午前中にガッツリ掃除をしておいて良かったと、密かにホッとしてしまった。



