ふたりだけのアクアリウム



「お、45にするか?確かに初心者には人気なんだよな。水も汚れにくいし手入れが楽だから。30まで下げると水が汚れやすくて面倒なんだ」


店長さんに人気と言われるとそれにしたくなる人間の心理。摩訶不思議。

気づいた時には「これにします」と伝えていた。


「設備はどうする?僕が適当に選んでもいい?」


沖田さんが店内を見て回りながら問いかけてくる。
もう、ここは彼に全部を委ねたい。
ど素人の私にはたぶん決められない。


「お任せしてもいいですか?」

「うん、いいよ。予算はどのくらい?」

「あ……あの……。3万円を超えなければ」


ボッタクリのペットショップに提示された3万円くらいなら大丈夫かなぁと思ってそう言ったのだけれど。
沖田さんから返ってきた言葉は、予想外のものだった。


「え?3万円?超えるどころか半分も行かないと思うよ。むしろ1万円以内に収まると思うけど。まとめ買いすると安くしてもらえるし」

「1万円以内!?」


ひとりで愕然としていると、彼はもはや私のリアクションなど気にすることなく初期設備を選んでいく。
「じゃあ僕に任せて」と言いながら。


スーツを着てるとちょっと頼りない雰囲気なのに、今日は妙に男らしいな。


……という、これこそまさに失礼極まりない感想は心の中にしまっておいた。