ふたりだけのアクアリウム



設備も何も、基礎知識もゼロで経験もゼロ。
何が必要で何が不要なのかも分からない。

だからこそ、この間ブラックらしいペットショップでボッタクリに遭いそうになったんだけど。
あそこで買っていても、沖田さんに言われなければボッタくられたことにも気づかなかっただろう。


そうこうしているうちに、沖田さんが私の代わりに希望を伝えてくれる。


「小さめの水槽がいいんです。中には少しの底砂と石と水草と、邪魔にならないようなアク抜き済みの流木も」

「最低限の設備として、水槽マットと濾過器とヒーターとサーモスタット、それからカルキ抜きも必要だな。余裕があるならフタもつけておきたいな」

「冷却ファンは夏に必要だから、それはまた来年の春くらいに買えばいいですよね?」

「そうだな、今時期はファンよりヒーターだな。ライトとバックスクリーンはどうする?」

「今はたぶんいらないと思います。まずは最低限で」

「掃除用品は?」

「代用品を百均で買うので大丈夫です」

「水槽のサイズはどうする?60が一番手入れしやすいけど」

「もう少し小さいのあります?」


専門用語らしい言葉が飛び交い、私はひたすらふたりを交互に見やるのみ。
瞬き多めでキョロキョロしていたら、いつの間にか移動していた沖田さんに、こっちだよと声をかけられた。


呼ばれた方へ行くと、ものすごい種類の水槽がズラッと並んでいて。
こんなに種類があるのかと驚いた。


巨大な鯉を10匹くらい飼えちゃうんじゃないかみたいな、生簀レベル(これは私の偏見かも)の大きなものから、いわゆる金魚鉢みたいなものまで。
大きさも形も様々だった。


「どれくらいの大きさの水槽がいい?」


沖田さんに尋ねられて、困ったなー決められないなーと小さい水槽が並んでいる箇所をウロウロする。
極度の優柔不断ってほどでもないけれど、部屋のインテリアの一部になると思うと即決出来ない。


「60センチだと大きい?」

「う〜ん、ちょっと大きい……かな?私のアパート、全然広くないので……」

「じゃあひと回り小さい45センチは?」


まさにキューブ型って感じの立方体の水槽があって、沖田さんがそれを持ち上げて私に見せてきた。


「水槽を洗ったりすることもあるから、重さも確認してみて。45センチなら女の子でもそれほど重くないかな」

「あ、大丈夫そうです」


持たせてもらって、確かにちっとも持ち上げるのに苦労はしない。
形も立方体ってのがまたちょっと可愛いかも。
水を入れたらもっと重くなるだろうし、これくらいがいいのかな。