山口が去っていった後、茅子さんが面白そうに目を細めてパソコン越しに私に声をかけてきた。
「ふふ、運命の人は……案外近くにいるものって言ってたけど。もしかしていっちゃんの運命の相手は山口くんだったりしてね〜」
「あはは、冗談きついです……」
けっこう本気でそう返した私は、さっき消してしまったパソコンの画面を呼び戻して水草水槽について再び調べてみた。
初心者向けのアクアリウム。
まず用意するもの。
水槽、水槽マット、水槽台、照明、ろ過装置、給水排水パイプ、CO2強制添加機、ろ材、電磁弁、クーラー、ヒーター……。
え?何これ。
初心者向けじゃないじゃん。
完全に専門用語なんですけど。
電源タイマー、底床、水質調整剤、エアレーション、トリミング鋏、水温計、水質測定キット、バックスクリーン……。
ちょっとちょっと。
無理だよ。これは絶対無理。
生半可な気持ちで始められるような趣味じゃない!
「水草水槽って高尚な趣味なんだなぁ……」
どうやら私には不釣り合いのようだ。
小さい水槽に、なんとなーく数種類の水草とか流木を入れて、サラサラと栄養剤みたいなものを振りかけるくらいの手入れ程度なら、「よし!始めてみよう!」と思えたかもしれないけど。
沖田さんってこれを全部揃えたのかな。
彼の部屋にあった水槽のサイズもなかなか大きかったし、周りには色々な装置もついていた。
手もかかっただろうし、お金もかかったんだろうな。
具体的な話を、もっと彼に聞いておけば良かった。
でも━━━━━。
この水草水槽、またの名をアクアリウムというものは、決して魚を飼ってはいけないとかそういうことではないらしい。
むしろ、魚の種類によっては藻を食べて水槽を綺麗にしてくれるのもいるようなので、綺麗な色の熱帯魚とかがあの水槽の中を泳いでいるのも、私としては見てみたいな、と思った。



