振り向くと暗闇の中、
スッと立っている男の子。


「おう、りゅう!わざわざありがとな」


ゆうが駆け寄って花火を受け取った。
智也も側に寄って笑いかけるのに…


表情一つ変わらない。
月の明かりに照らされたその顔は
とても綺麗で涼しげな表情。
切れ長の細い目から覗く瞳が何か語っているようで、寂しそうで…
冷たい目つきがわたしを刺した。



なんだろう…その空気感に引き込まれていく。



「なんで冬に花火なんてやってんの?」


無表情のまま、りゅうって人は智也に聞いた。
智也はわたしを指差し

「こいつの失恋パーティ」

そう言って笑いながら
打ち上げ花火の準備をするためゆうを連れて公園の奥へ離れて行った。




残されたわたし。
そしてりゅうって人。
気まずいのは嫌だってあれほど言ったのに…




案の定…沈黙。