「ねぇゆう、花火に火付けてからわたしにちょうだい」



「なんでだよ…自分でつけろよ」



「パチパチって広がりが大きいのは怖いから嫌なの!」



「めんどくせぇー。
あっ!夏やった時もそうだったよな」



「火怖いんだもんっ。だから線香花火が一番好き」




「線香花火なんてつまんねぇよ。
打ち上げよぉぜ!お前のモヤモヤも一緒に打ち上げろよ」



いつものこの雰囲気が好きで、
テンションが上がっていく。




「うわっ、湿気ってて全然ダメじゃん」



静かに笑いながらゆうとわたしの会話を聞いていた智也が言った。



「てかアイツ遅くね?」



”アイツ?”
ゆうの言葉に即反応した。



「誰か来るの?」

わたしはこの2人との時間が好きで、
中に誰か入るのはあまり好きじゃなかった。




「俺らと同じクラスの友達呼んだ!
開けてない花火あるっていうからさ」



智也は本当に花火を必死に探してくれたんだ。
でも…


「へぇ〜…でもわたし人見知りだから…なんか気まずいなぁ。」



「大丈夫!アイツも人とすぐ打ち解けないタイプだから。あんまり話すようなヤツじゃないし、すぐ帰るよ」



なんだそれ…なんて思いながら
ゆうに火をつけてもらった花火を振り回した。



「見て見てぇ、ハート」


花火で大きく描くハート。


「また始まったよ!危ないし声でかいし」




3人の笑い声が響く公園。




「さみぃんだけど」


ボソッと知らない誰かの声が耳に入った。