「七菜ーッ 行くわよー」 ざわざわする空港に響くお母さんの声。 ・・・そろそろか。 つい2時間くらい前のみんなの温かい言葉が頭から離れない。 私は、幸せ者だな。 必要最低限の荷物をつめたキャリーケースを引いて搭乗口に向かった。 また、会えるといいな。 「佐伯さん!!!」 ひときわ大きく響く女の子の声。 お母さんかな? そう思っておもむろに振り向く。