少し泣き止むと先生と2人、廊下を歩いた。
まだ私の目にはうっすらと涙が残っているだろう。
目が腫れるから泣くのは控えているつもりだったのに。

今も2人の間では会話はない。
似たようなことが前にもあった気がする。


「先生はあまり喋らないんですか?」

喋ることがなく、とっさに出た言葉だった。

「そんなことも無いよ、考え事してただけです」

私の問いに先生は
そう答える。

「考え事?」


職員室に着いたとき
先生は中に入ると同時に答えた。

「…文化際のことです」

私は直ぐに分かった。
先生は嘘を言っていると。
しかし、それ以上聞こうとは思わなかった。