君と過ごした夏、私が決めた時間。





「朝から見せつけてくれるなあー」




背後から芯があって、
雑味のないよく通る声が聞こえて振り返る。

鞄を肩に下げて、
黒いショートボブと制服を
雨で少し濡らした真奈がそこにはいた。




「藤宮はよー」

「おはよう。
幸せ貼り付けた顔しちゃってームカつくわー」

「酷いなー」

「大丈夫、冗談だから」

「藤宮の冗談は冗談に聞こえないんだよな…」

「中学の頃からの仲でしょー、わかってよ」

「ムリムリ」




軽快なリズムで繰り広げられる
二人の会話を聞いて思わず笑ってしまう。


そんな私を見て真奈が鞄を陽介に放り投げ、
抱きついてきた。




「咲季ぃー!おはよーっ」

「真奈ちゃんおはよう」

「もー今日もかわいいなぁ」




鞄をなんとか抱きとめた陽介は
危ないだろと言いうが、
抱きつけてご満悦の真奈には届いていない。

そんな二人のやり取りが面白くて、
私はやっぱり笑ってしまう。