《翔琉said》



「愛優...」


俺は一人でただ分娩室の前で

突っ立てるしかできなかった。



愛優が意識を失ってから

急いで病院まで運んで、


医者から言われたのは、


『母子ともに危険な状態です』


その、たった一言だけ。


だからこそ、そばにいてやりてぇのに。


ほんとは出産には立ち会う予定だった。

だけど...愛優が...愛優が倒れたから予定が変わった。




愛優が...愛優がいなくなったら

俺はどうすればいいんだ...?



くそっ...。


どこに向けていいかわからない感情を抱くばかりだった。