『ねえねえ諒ちゃん、Time after time ってどういう意味?』
『なんだよ急に。』
『今日借りたCDに入ってた曲の歌詞に出てくるの。輸入盤だから歌詞カードに日本語訳がなくって・・・』
『Time after time は、”何度でも”って意味だよ。カード見せてみろよ。』
『さっすが諒ちゃん。外国でお仕事したいって言うだけあるよね。』
『ばーか。こんなの受験英語だろう?』
『だって私分かんなかったもん。』
『中学生にもなって”もん”とか言うな。・・・・・・・・たとえ何度生まれ変わっても、僕は君に恋をするよ。』
『・・・・・・・・・え?』
『この歌の歌詞だよ。生まれ変わっても必ず君を見つける、だから寂しくなんかない、僕を信じて、二人は時を超えても結ばれる運命なんだ・・・ちょっとクサ過ぎないか?』
『あ、歌詞ね・・・。クサイってなによ。これはクサイんじゃなくて、ロマンチックって言うの。素敵じゃない。女子の憧れなんだから。こんな風に言われたら誰だって落ちちゃうわね。』
『ふうん・・・女子って単純なんだな。』
『単純ってなによ!もう知らないっ!来週の諒ちゃんのお誕生日のケーキ、今年は作ってあげないんだから!』
『え、ちょっと待てよ。あれ毎年楽しみにしてんだからな!』
『知らないよーだ。』
『あ、おい、水かけるなよ!制服が濡れるだろ!』
『そんなのすぐ乾くわよ。』
『ばか!真水じゃないんだから乾いてもべとつくだろ!海の町に育ってて今さら何言ってんだよ。』
『はいはい、どうせ私はばかですよーだ。』
『おい、どこ行くんだよ?』
『頭のいい諒ちゃんにはついていけないので、ばかな私はお家に帰りますー』
『おい、先帰るなよ。待てって。』
『ばいばーい。』
『待てよっ!おい、待てってば!・・・・・・・・・・・行くなっ!』
走り出した後ろ姿をオレが追いかけようとした、その瞬間、
まぶしい光が目に差し込むように入ってきて、同時に、大きなクラクションの音が世界いっぱいに響き渡った。
パパパパパパパパ―――――――――――――――ンッ!!!!!