大抵は、後になってから、気付くもの。 いつか、全てが愛おしく押し寄せるだろう。 ――たとえ今は、思い出にできなくとも。 「ママ、ご本読んで!」 そんなわが子の声で、ふと我に返る。 「――ありがとう。…お元気ですか?」 しみじみと口にした女性は、 見ていた卒業アルバムを、元の位置に入れ直した。