兄貴は鬱病で、ことあるごとに死にたいと言っては、家を飛び出し川へ向かった。 ――兄貴は、文学が好きで、太宰治の自殺の美学に憧れていた。 孤独への辛さ、世間の好奇の目。 会社のストレス、失恋。 ――これらのことに耐えられなくなった兄貴は、自殺の美学でそれらを正当化し、 何度も自殺未遂を図った。