あの時は何もかも諦めていた。


そして思い込んでいた。



無駄に伸びた背丈。

女性に見えない顔立ち。

どちらともつかない中性的な声音。


上手くいかないのは全てそのせいだと。



自分自身に刻まれた呪いは私の中に深く深く沈んでいく。


はずだったのに。


稲光に照らされた狼はいつだって真実を見抜く。

アイツとの出会いはアイツ自身のような雷と大雨が吹き荒れる嵐の夜だった。

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