歩いていく悠の背中を見届ける。 すると不意に悠が止まった。 あれ? 「杏!それいらないならくれ!」 「へ?」 「スズラン!」 これ? 私が指差すと、悠が大きく頷いた。 私は、スズランを持って悠に駆け寄った。 「いいか?」 「このまま捨てるより、いいから」 私はスズランを悠に渡す。 「さんきゅ」 「うん」 「じゃあな」 「バイバイ」 今度こそ、歩いていく背中を見届けた。