「杏はいっつも急いでるな」 呆れたように私の頭を撫でたソウくんと私は高校2年生。 同じクラスだ。 「ソウくんはいっつも落ち着いてるね」 用意の遅い私が、いつもこんなに早い時間に出てくるわけなんて、『ソウくんと一緒に学校に行くため』それだけだ。 「そうか?」 ソウくんは言った。 「うん」 ソウくんと、他愛もない話をしながら学校に行くこの時間が、私の唯一安らげる時間なんだ。