「ごめんね、ソウくん」 「杏、話聞け」 「ごめん」 そんな勇気ないよ。 涙を流すだけだと、わかっているのに。 「杏樹」 「ばいばい」 どうかあなたが今私の頬に流れているものに気づかないように。 私の気持ちに気づかないように。 あの子のところへ、迷わず行けますように。 ごめんなさい、ごめんなさい。 たくさん助けてくれたのに。 温かい言葉をくれたのに。 なにもできなかった。 だからせめて、あの子があなたを幸せにしてくれることを願わせて。