白い壁。

白い床。

スリッパのカパカパという音が私の前を通り過ぎてく。

少し硬めのソファに座った私は震える手を押さえながら俯いていた。


「如月さん」

優しそうなおじいさんの声が聞こえて私は顔を上げた。


「娘さんかな?」


「…………は、い」


「命に別状はありませんよ。

疲れが溜まっていたんでしょうね。

問題ないので、今日1日入院してもらえれば、明日の夕方には退院できますよ」

おじいさん先生の優しい声と笑顔は私を十分すぎるほど安心させた。


「よかった…………」


「今は点滴中ですが、目を覚まされているので入っても大丈夫ですよ」

私はその言葉に一礼してすぐ部屋に入っていった。