辛いこと、ばかりだった。

優しい時間なんて、幸せな時間なんで、ほんの少しで。

数え切れないほどの涙を流した。

不安に震えながら幾つもの夜を越えた。



「…………西条に宣戦布告しにきた」


「俺、杏ちゃんのこと好きだから」

それでも。

涙を拭ってくれるのがあなたじゃなくても。



「ソウくん、私……ソウくんの友達やめるね」


「私はもう、ソウくんのそばにはいられない」

どれだけあなたに傷つけられても。



「ごめんね、ソウくん」

私があなたを傷つけているとわかっていても。



「……………………ごめんな、杏」



「ありがとう。ソウくん」





「杏樹が好きだ」


本当にそばにいてほしいのは、あなたでしかいなかった。