「そっ、か…………」
平然を保って、出した声は確かに震えていた。
ねぇ、ソウくん。
どうしてそこにいるの。
連絡もせず、なにしてたの?
"起きたら"って、なに?
そんなにずっといたの?
約束のことなんて、忘れちゃってた?
『…………杏は……もう、帰ってるよな』
帰ってないよ。
待ってたよ。
ずっと、ソウくんを待ってたよ。
「……」
『ほんと、ごめん。俺も帰ったらすぐ杏のところに……』
ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン
時計台の鐘が鳴り響く。
パッと視界が明るくなって、周りの人たちが歓声を上げる。
「あ…………」
どうして、こんなときに……
涙で揺れる視界は鮮やかに点灯するツリーと、その周りの人たちを確かに捉えていた。

