「由紀‼︎」 騒がしい中で聞こえてきたのは1番大好きな声。 でもそれは、私に向けられたものではなかった。 「ソ、ウ…」 隣から小さく声が聞こえてきた。 由紀ちゃんは気を失ったわけではないみたい。 バッ 服が擦れる音がした。 朦朧とする意識の中で微かに見えたのは由紀ちゃんを抱き上げたソウくんの姿だった。 その光景を見たくなくて目を閉じると、そのまま私は暗くて深い世界に堕ちていった。 頬に何か、温かいものが伝った気がした。