「うん、大丈夫そうだね」
満足そうに棗が頷いた。
「杏樹ちゃん」
「由紀、ちゃん」
「ふふ、そんな不安そうな顔しないで?」
誰のせいだと思っているんだろう。
そんな綺麗な顔しても、性格がよろしくないことは私はもう知っているのに。
「大丈夫よ、残念ながら今日は私、当番で邪魔しようにもできそうにないから」
その言葉にホッとしてしまった自分が嫌で仕方なかった。
「でも、もう杏ちゃんをそこまで不安にさせられてるならよかったよ。
1年間我慢して、今本気出せる身体になっておいて」
先生に呼ばれ去って行く彼女を見ながら私は拳を握り、棗は悔しそうに嘆いていた。