ねぇ、ソウくん。 気づいてた? あのとき、『1人で帰れるか』とは聞いたけど、『行ってもいいか』とは聞かなかったね。 腕を掴んだ私の気持ちには、気づかなかったね。 そして、ソウくんは、1度も後ろを振り返らず、ただまっすぐ前を見て走って行ったよね。 ねぇ、ソウくん。 私が後ろで涙を流していたことに、気づいてた? 月曜日、ソウくんはこの日のことを謝ってくれた。 でも、この日からソウくんが由紀ちゃんの近くにいることが多くなった。