「なーに納得しちゃってるのよ‼︎」
2人を見送り立ち尽くしていた私に言ってきたのは棗。
「あの子の言ってること、嘘なんでしょう⁉︎
わかってるのになんで行かせたのよ‼︎」
「本人が隠してるのに、私がそんなこと言えないし。
それに、ソウくんがそれを信じて、一緒に帰るって言ったんだったら私は何も言えないよ」
「なに甘いこと言ってんの⁉︎
ねぇ、杏。
不安なのも、怖いのもわかる。
でも、だからちゃんと言わないと。
取られちゃうよ?」
棗の言葉がグサリと私の胸を刺したのは紛れもない事実だったから。
わかってたから。
だから、余計に苦しかった。