「ここか…」


「うん」

瀬里菜さんと別れた私たち。

場所を教えてもらいお母さんたちに会いに来た。


「大丈夫か?」


「うん…」

この17年間。

見たこともない影を、聞いたこともない声を、追いかけ続けていた。

写真で見てもなんだか実感はわかなくって、どれだけ話を聞いても、想像がつかなくって。

足掻いてた。

次第に自分もわからなくなって泣き叫びたくなった。

なにも知らなくて、話したこともなくて、名前だって、お母さんたちに呼んでもらって覚えたわけじゃなくて…

初めてしゃべった言葉は"お母さん"でも、"お父さん"でもなくって。

お母さんたちがいたのかもわからなくなってた。

でも、やっと…やっと、私を存在させてくれた人たちの跡を確かめられるんだ………。