それに楓くんは前に私が発作になったとき、助けてくれたあの人だ。 サボってばかりだったからわからなかった。 むりやり連れてこられた楓くんをみて初めて知ったんだ。 そこで、初めて名前を知った。 助けてもらったのに冷たくした私にも優しくしてくれた。 本当に優しい人だ。 「あ、杏ちゃん‼︎舞台の電球切れたみたい。見てきてくれる?」 そんなことをボーッと考えていると先輩に声をかけられた。 「あ、はい‼︎」 いけないいけない。 働かなくちゃ。 私はまた走り出した。