「はぁ? お前、アイツの何!? 頭おかしいだろ」

生徒会長はわたしを見下ろしたまま、嘲笑し詰め寄ってきた。

「詩月くんはわたしのお婆ちゃまのお弟子さんよ。お婆ちゃまの自慢のヴァイオリ二ストだった」

生徒会長の顔が驚きに変わり、強張って立ち尽くし、目を見開いている。

「小百合? ……あなた、周桜くんを転校してくる前から知っていたの?」

志津子の訊ねた声は興奮し、上擦っていた。

「詩月くんは5歳からずっと、Jr.と言われて、まともに評価をされずに悩んでた。コンクールに出なかったのもJr.と騒がれたくないから」

わたしは胸の高鳴りを抑えきれずに、なりふり構わず叫んでいた。

「詩月くんがどんなに一生懸命、練習しているのかをあなたは知らないでしょ。詩月くんがどんなに聴き手を思って演奏しているか、あなたには解らないの?」