「毎回首席、ウソでしょー!?」

「彼のヴァイオリンは去年学オケのコンマスも唸らせたほどだもの。彼、専攻はピアノなんだけど」

「えっ……」

「ピアニスト周桜宗月は彼のお父さん、周桜くんはピアニスト志望なのよ」

隣りで話す学生、永山志津子の言葉がすんなり頭に入らない。

ピアニスト志望の周桜詩月が何故、祖母にヴァイオリンを習っていて、祖母の1番弟子にまでなっているのか、合点がいかない。

「彼、今度MHKヴァイオリンコンクールに出場するみたい。ヴァイオリンコンクールは初めて出場するんですって」

話を聞けば聞くほど疑問で頭がいっぱいになる。

昨日読んだ祖母の日記の内容を思い出そうとする。


「千住さん、普通科の席次はこっち」

手を引かれ普通科の席次表前に移動し、自分の名前を見つけた瞬間、目を覆いたくなった。