一年、また一年と季節は過ぎていった。 そして、夏音は別の保育園に勤め始めた。 「本居先生。彼氏とかいるの?」 同僚の先生に聞かれる。 「いませんよ。」 「好きな人は?」 どこにでもある世間話。 「前はいましたよ。今はいないんですけどね・・・。」 瞬を忘れるなんてなかなか出来ない。 いや、忘れることはないだろう。 夏音は久しぶりに瞬との思い出を辿りたくなった。 仕事終わりに夏音は塚原に頼んで、高校の屋上に入れてもらった。