午後四時…

彼は帰る為に地下鉄のホームへ向かう


本当は別れがたい…

でも

私から出てくる言葉は
そっけないものばかりで

言ってて切なくなる。


本当は可愛く言いたい。

「またね」

「今度はいつ会える?」

何度も言ってる。

心の中では何度も…


だけど

やっぱり今日も言えなくて

彼の背中を見送った。


こっち向け!


小さな声で呟いた。


言葉が出てこない変わりに手を振ろう。


私の声は周りの音に掻き消されて届くはずもないのに彼が振り向いた。


それに気付き

出来る限りの

笑顔を彼に向けた。

彼は

口をパクパクさせながら

何かを伝えようとしている。


私は首を傾げながら

口元を見つめる。


「そんな顔で笑うなよ」


と言いくしゃっと顔を崩して笑いながら、こちらに戻ってきた。


ふわぁと彼の匂いが私を包む。

そして頭を撫でながら

「大丈夫。分かってるから」

と耳元で囁き強く抱き寄せた。




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