無愛想天使

そんな複雑な事情があるなんて考えてもみなかった。

ただ、嫌われたんだと見捨てられたんだと思って疑わなかった。

今も昔も隼人から見捨てられた事なんて一度もなくて、それどころか、ずっと想われていた。

隼人…

ごめん。

言葉がでないよ…

言葉が出てこない私の頭を撫でて先生は教室から出て行った。

残された私は、ピアノに背を向ける形で椅子に腰掛けた。

どうしたらいいのか考えても答えは出るはずもなく、心の中がもやもやするだけだった。



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