練習の日々が続き、早いもので明日はもうコンクール当日だった。

「乃々香、明日は力抜いていけよ?」

「うん。分かってる」

最後の練習も終わり、片付けながら先生と会話をする。

「言いたい事はそれだけじゃないんでしょ?」

「えっ…」

作業を止める事なくさらりと問い掛けた。ここ何日か先生はそわそわしている。

切り出してくれるのを待っていたけど、我慢の限界だった。

渋い表情を覗かせた先生だったけど、振り返り自分の鞄の中を漁り始め、そこから取り出した物を、私に向かって差し出してきた。



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