きっと気のせいだよね。 「ほんとにことね傘なくて大丈夫なの?」 「大丈夫!足は速いほうだから!」 杏里は心配そうに私の顔をのぞき込む。 か、かわいい。 「じゃあ今日は用事あるから帰るね?気をつけてね!」 そうして杏里は帰っていった。 はぁ。濡れて帰るか。 「ことねちゃん一緒に帰る?」 そんな神の声が聞こえた。 「桜井くん?」 桜井くんだ。