「あ、あ、あ、センパイ! 送ってくれて、ありがとうございましたー」 私はママを、ぐいぐいと家の中へ押し入れる。 「お茶でも飲んでいけばいいのにー」 「ママ!」 「あ……もう遅いんで、今日は……」 センパイの顔が引きつっている。 ママのバカ!恥ずかしい……! 「センパイ、ごめんなさい」 私はボソッと言った。 「優也くん、ご両親によろしくねー」 「はい」 センパイはクスッと笑うと、手を振って歩いて行った。 帰り道わかるかな……。 私はセンパイの後ろ姿を見つめた。 雨、上がってよかった。