ポカポカ暖かい春の午後。 図書室から見える、2本の大イチョウ。 まだ小さい葉が、ゆらゆら揺れる。 風に運ばれた桜の花びらと、一緒に揺れる。 あの前例の無い、異例の卒業式が終わり、生徒会の奈々ちゃんは入学式の準備でバタバタしていた。 その姿を横目で見ながら、私は相変わらずこの図書室にいる。 図書室の本棚に囲まれ、ちょっと奥まった個室のようになった場所。 ここが、あの人の場所だった。 それが今は、私の場所。