「あ……、そうだ」 私はポケットに入っていた、小さなポーチを取り出した。 そしてその中から、2つの指輪を手のひらに出した。 「やっぱりこれ返します。 こんな高価なものもらえない……」 「いいって言ったろ。 それはヒサにあげた物なんだ」 「でも……」 あれから何度も何度も返そうとしても、センパイは受け取らなかった。 「いいんだ、俺が持っててもしょうがないし……」 「_______……彼女と………別れたから?」 一瞬、センパイの動きが止まったような気がした。