「ヒサ!」 「奈々ちゃん……」 その声の方を、ちらっと見る。 いつものように、奈々ちゃんが大声で教室に入って来た。 何かとても焦っているようだ。 「ヒサ大変なの!」 「んー?」 「大変なの」 今までの大声がウソのように、いきなり声が小さくなった。 その様子に、私は顔を上げた。