「あ……あの……」 私は小さく声をかけた。 その人は、真っ直ぐ前を向き通り過ぎた。 「あ……」 あれ……違う人なのかな? あの時の人じゃないのかも……。 「……生徒会長」 私は追うように、一歩踏み出した。 「優也センパイ!」 去る後ろ姿に大きく声をかける。 優也センパイは立ち止まり、私の方へ振り向いた。 厳しい顔が私を見つめる。 ドキン ドキン…… 「……センパイ……」 優也センパイは私を指さし、周りに聞こえないように 「あ げ る」 そう言って、微笑んだ。