私、今から詐欺師になります

「でもあの……結婚詐欺って、なにをどうしたらいいんでしょうか?」

「……どうしたらいいんだろうな」

 詐欺経験どころか、恋愛経験も乏しい二人で見つめ合う。

「とりあえず、なにか俺をその気にさせて騙したらいいんじゃないのか?」

「そんな難しいこと言われても」

 うーん。
 どうしたらいいんでしょうね、と茅野が唸ると、

「お前、考えろ。
 詐欺師なんだろ」
と言ってくる。

 いつの間にかドアを開け、入って来ていた玲が、莫迦なのか、この二人は、という目をしたあとで、その感情をまるまる口から出して言ってきた。

「莫迦じゃないの?
 とりあえず、二人で食事にでも行ってきたら?」

 多少イラついたように言われ、ああ、と二人で頷く。

 じゃあ、とりあえず、ランチにでも、という話になった。

「真っ昼間のランチ。
 健全すぎない……?」
と呟きながら、玲は出て行った。