うん?今この人なんて言った?
隣の亜美もポカンとしているのがわかる。
「あの。お断りします」
なんとかそう言うと、その男の子はわかりやすく眉を下げた。
「なんで?俺高校生なったよ?」
「あの、多分人違いです。私も日和って名前だけど、あなたの事は知りません」
「え?俺だよ?大賀翔吾!」
「大賀……翔吾……?」
改めて記憶を遡る。
でも思い出せない。
「人違いです。行こう」
亜美の手を引いて、大賀君と名乗ったその男の子の横を通り過ぎる。
「俺!日和に思い出してもらえるまでがんばるから!!」
後ろでそんな声を聞きながら。


