私は気づかないふりをして横を通り抜けた。 当然、大賀くんは着いてくる。 やめて。来ないで。 なんでなんで。こんなにも胸が苦しいの。 俯いて、気持を押し殺す。 「ねぇ?日和?」 やめて。 「元気ないね。どうしたの?」 やめて。 その声で話しかけないで。 その顔で私に笑いかけないで。 「ねえ、ひよ――—」 「やめて!」 私は立ち止まった。 大賀くんも同じように立ち止まる。 私の顔を心配そうにのぞき込む。