少し早歩きしたところで大賀くんはスピードを落とした。



でも腕は掴んだまま。



「疲れた……」



ちゃんとしたルートを通っていることに驚きながらも息を整える。



「どうしたの?」


「今日は部活なかったから一緒に帰ろうと思って」



大賀くんは前に陸上部だと話していた。



「早歩きの意味は?」



大賀くんの早歩きは私にとっての小走りぐらいのスピードだった。



「だって逃げるでしょ?」



確かにあの時は逃げようかとも考えた。



いや、考える暇もなく歩き出したんだけど。