帰り道。
今日は亜美が用事があるらしいので、一人で帰ることになった。
校門のところまで歩いてくると、よく知った顔がそこにあった。
「あ、日和」
大賀くんだ。
なんでここにいるんだ。
「帰ろう」
そういった大賀くんは私の腕を掴んだ。
「は?」
抵抗する間もなく歩き出す。
「いやいや、なんで?」
「今日は部活なかったからさ、一緒に帰ろうと思って」
「えー……?」
ずんずんと歩いていくけど、それはいつもの帰り道で。
「なんでわかるの?」
引っ張られながらそう聞くと、大賀くんは少し振り返った。
「さーて、なんででしょうねぇ?」
そう言っていたずらっぽい笑顔を浮かべた。
あくまでも教えてくれないか。
手がかりが増えれば、本物の日和を見つければ、この人から解放されるのに。


