「もう二時過ぎた」



「ん……」



寝ぼけたように目をこすって俺の方を見る。



……正直、その顔でこっちを見ないでほしい。



「さーくらぁ」




「何だよ。てか宿題はいいのかよ」




数学の山田が出した宿題、ワーク全部で10ページ。


ひらりは数学が苦手で、俺に教えてもらいたいからとリビングで二人で勉強しようとしてたのに。




「あー……宿題やらなきゃぁ」




「どーせわかんないなら俺がいるうちにやっとけよ」




「咲良明日どっかいくの?」




「クラスの奴らとカラオケ」




「ふーん……」




ひらりは何かを考えるように俯いた。




「ひらり?やるぞ、宿題」




俺はテーブルの上に数学のワークを広げて筆箱からペンを出す。




「まだ脳が起きてません……」




そう言ってひらりはまた寝ようとするから、俺が強制的に座らせる。




「んー……ねむい」




「昨日何時に寝たんだよ」




「咲良の部屋からもどってきてー……12時半くらい?」




「はぁ……ちゃんと寝ろよ」





「ん……」




ひらりが眠そうに準備をするから俺は先に問題を解き始める。