実らない果実


これ以上は我慢ならないな~



『はい、ストップ~』


男の腕を捻りあげ、先輩を離してもらう



背中に先輩を庇い、男達と向かい合う



「痛っ!何しやがる、このガキ!」



『先輩、大丈夫ですか?』


目線は前に向けたまま、安否を確認する



先輩は何も言わず、抱きついてきた


少し震えているみたいだ


連れてかれようとしたんだ、怖くないわけないよな



「お前、急になんなの?」


「正義のヒーロー気取り?カッコイイですね~(笑)」


ゲラゲラと下品な笑い声を上げる男達
とても不快だな



『この子の彼氏なんだけど?文句ある?』


先輩に触ったこと、怖がらせた事にイライラしているので、殺気立った声を出してしまった


それにビビったのか男達はビクビクしながら
「す、すいませんでしたぁ!」

「ははっ、連れって彼氏さんだったんですね~」

「いや、本当にすいません!」


逃げる様にさっていった



『先輩、もう大丈夫ですよ』
いまだ抱きついたままの先輩に声をかける


「……ん」
短く返事をされ、体を離される