日曜日の午後、出張に行く父親を玄関まで見送る。



私は姫野華、18才高校三年生。



父親と二人暮らし。



母親は小さい頃亡くなったと、聞かされた。



それから、父親の肇さんとずっと二人。



だから仲良がいい。



まるで夫婦みたいに。



「父さん忘れものない?」



父さんの大きなボストンバックを抱え、玄関で父親を待った。



「大丈夫だと思う。華一週間は帰れないから、お祖母ちゃんの所にでも行けよ。」



「大丈夫、心配しなくても慣れっこだから。」



力強く玄関のドアを開けると、誰かに当たった。



「イテテテ。」の声と、「パパ大丈夫?」という声。


そっと、ドアの外を覗いて見た。



そこには背の高い男の人と、可愛らしい女の子がいた。