ハッピーエンドなんていらない




そのあとわたしたちは、紫苑と湊に2人で決めたことをすべて話した。

2人は驚いてはいたものの、止めたりはしなかった。

あくまでも、わたしと雪の問題だから。

ただ、雪の転校に悲しそうな顔をしていて、2人もとても残念そうにしていた。


学校がまた始まって、わたしと雪が別れたことはあまり噂にならなかった。

というのも、湊と紫苑しか知らないし、いつも通り接していたから。


いつも通り過ごす日々は、いつもよりも少し短くって。

気が付けば3月になって、修了式までもう少しというところになっていた。


雪が引っ越すのは修了式の翌々日だ。

修了式の翌日は準備で忙しいから会えないだろうと言われたから、翌々日に会いに行った。

もちろん、湊と紫苑も一緒に。


「来てくれたんだ」

ふわりと笑う雪に、わたしも同じように笑い返す。

「見送りたかったから」

それだけ伝えると、雪は嬉しそうな顔をしてわたしの髪を優しく撫でた。

そうしてありがとうと小さく呟く。