ハッピーエンドなんていらない




そうしてついに待ちに待った土曜日がやって来た。

待ちに待ったといっても雪の家なんて小学生の頃に行ったことあるんだけど。

中学生の頃はそういうお年頃というか、あんまり遊びに行かなかったかな。


ただ、2人きりというのは初めてかもしれないから、ドキドキしていた。


服装はおかしくないかとか、髪型が崩れていないかだとか、何度も鏡の前で確認し直す。

家を出る直前までほんとそんな感じで、時間になった頃に家を出て雪の家に向かった。

動くたび、カチャンとイヤリングが耳元で鳴る。


冬らしからぬ暖かい日が照りつけている。

カラッとした空気の中に、暖かく溶けていく光。

こんな真冬でも、やっぱりひなたは暖かいものなんだなぁ。

なんだかポカポカとして、ゆるりと笑みを浮かべていた。


そんなに歩かないうちに雪の家についてしまい、インターホンを押した。

雪のお母さんが出ると思い構えていたが、家の扉を開けたのは雪だった。

「どうぞ、入って」