ハッピーエンドなんていらない




ゆったりと時間が流れていく。

「雪もなにか本でも読んだら?」

目は文字を追ったまま口だけでそう言うと、雪は「そうだなあ」と呟いた。

「いいよ。それより、そろそろ部活終わるだろうし、こっちから迎えに行こう」

立ち上がった雪の服の裾をつかむ。

「でも、図書室集合なんじゃないの?」

首を傾げると、雪は少し悲しそうに笑った。

「下駄箱で待っとけばいいだろ。

どうせ、あいつら2人先に集合してから、下駄箱通って図書室まで来てるから」

いつも、と付け足された言葉が胸を締め付ける。

いつもいつも、偶然同じ時間に部活が終わったんだと言いたげな2人。

そろって図書室にいるわたしに声をかける。


…なんだ、偶然じゃなかったの。

でも、2人は付き合ってるんだから、それくらいは当然のことだ。

気にしないように自分に言い聞かせる。


「そっか、そうだよね」

変わらず笑みを貼り付けたまま、わたしも立ち上がり本を元に戻す。

「ああでも、図書室の鍵、返さなきゃ」

先に行っててという意味を込める。