雪は少しだけ驚いた顔をすると、
「珍しいね。おれ、彩芽はホラー小説読んでるイメージしかないな」
そう言ってクスッと笑った。
「そうかな。
買うのは確かにホラーばっかだけど、図書室では結構読むよ、友情とか恋愛とか」
…ただ、最近はあまり恋愛ものは読まないけど。
心の中でそう付け足してクスリと笑う。
恋愛ものなんて、今はわたしを虚しくさせるためだけの道具だ。
好きな人と無事付き合えました、なんていうのは主人公の特権。
読み始めた小説は、女の子の友情かなにかだった。
「…おもしろい?」
「結構、おもしろいよ」
会話が、弾まない。
笑えるくらいに、気まずくて弾まない。
雪は、静かに本とわたしとを繰り返し見ていた。
「わたしの顔になにかついてる?」
視線が気になり尋ねると、雪は「別に」と呟いて淡く微笑んだ。


